書籍概要

カーブアウト・事業売却は、買収・統合と一対となって迅速な成長を実現する、基本的かつ重要な経営手段である。事業の状態がよい時に売却を意思決定し完了すれば、売り手、買い手、その事業の従業員にとってメリットとなる。売り手は、綿密に事前準備をしてこそ、高く、遅滞なく、そして手離れよく売却を進めることができるのだ。本書では、売却合意前の交渉の視点と、売却合意後の合意事項の実行の視点から、カーブアウト・事業売却に伴う従業員・債務・制度・インフラの課題と実務を詳説するほか、表明保証保険の活用、さらには有事を見越した平時からの取組みや、人員余剰対策についても解説している。また、主要国別の留意点も明らかにしている。


著者: マーサージャパン
出版社: 中央経済社
発行日: 2022/10/14
価格: 3,520円(税込)

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目次

  • 第1章 カーブアウト・事業売却のプロセスと組織・人事上の留意点
  •  カーブアウト・事業売却について概説し、株式売却と資産売却の差異および留意点、そして高く売却するためのポイントを明らかにする。
  •  
    1. カーブアウト・事業売却の全体像
    2. カーブアウト・事業売却の類型と特徴
    3. カーブアウト・事業売却における組織・人事上の留意点
    4. 日本企業の事例紹介

  • 第2章 カーブアウト・事業売却のHRDD実務
  • 日本企業に典型的に見られる課題を踏まえ、HRDDでの買い手との潜在的な論点と、売り手の採るべき備え方、売却契約交渉のポイントを明らかにする。なお、しばらく前からM&Aで盛んに活用されている表明保証保険の利便性についても、説明する。
  •  
    1. ディールの準備段階で売り手が自ら行うHRDD(Seller’s DD)
    2. LOI/MOU締結後に買い手が行うHRDD
    3. 表明保証保険の活用

  • 第3章 カーブアウト・事業売却のサイニング後の実務
  • 資産売却の場合を中心に、人員の転籍、スタンドアロンイシューへの対応、TSAの取り扱い、債務性のある人的コスト・リスクへの対応、経営者・重要従業員の人材リテンションなど、クロージングに向けての重要タスクと、その適切な進め方を明らかにする。
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    1. 事業譲渡の場合
    2. 既存子会社/事業・資産を移管した新設子会社の株式売却の場合
    3. 事例紹介

    4.  
  • 第4章 事業再編を見据えたHR機能のプラットフォーム化
  • 止まることのない事業再編を見据え、グローバル企業としての成長とともに膨れ上がる人材関連のコストをどのように管理し、また今後の買収や売却に備え、さらに人材マネジメントによって事業価値を高めるかを説明する。さらに、社会的にも課題感の大きい日本の年金制度再構築についても、その考え方を論じる。
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    1. 将来的な再編に耐えうるHRの全体設計思想
    2. HRのプラットフォーム化とHRガバナンスー人事制度
    3. 退職給付制度の再構築
    4. HRのプラットフォーム化とHRガバナンスー人事組織、オペレーション、ツール

  • 第5章 カーブアウト・事業売却に伴う人員余剰対策
  • 人員余剰対策は、売却の近接領域にあり、あらかじめ売却と比較検討したり、あるいは売却が不調の時には採用したりする手法である。本章では、リストラクチャリングの内容、プロセス、課題を説明し、カーブアウト・事業売却をより包括的に理解できるよう、論じる。
  •  
    1. カーブアウト・事業売却と人員余剰
    2. RIFの論点
    3.  

  • 第6章 主要国別の留意点
  • クロスボーダーM&Aにおいては、国によって違いが生じることは決して珍しくない。日本企業によるカーブアウト・事業売却が比較的想定されやすい国を取り上げ、人事実務の観点から、従業員転籍、TSAの制限、ベネフィット・年金での留意点、組合・労使協議会との交渉の留意点等を解説する。
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    1. 各国共通の主要論点の整理
    2. 各国における論点:日本・米国・中国・英国・フランス・ドイツ・オーストラリア・インド・シンガポール・インドネシア・タイ・ブラジル・メキシコ
    3.  

著者

マーサージャパン共著

 

北野 信太郎(きたの しんたろう)

マルチナショナルクライアントセグメント代表、M&Aアドバイザリーサービス部門代表、英国アクチュアリー会正会員
グローバル企業のトランスフォーメーションを、事業のライフサイクル全体にわたり、M&A(買収・売却)を含めて支援。 社外での講演や専門誌等への寄稿等も多数行う。

 

猪瀬 行広(いのせ ゆきひろ)※執筆時

組織・人事変革コンサルティング部門、M&Aアドバイザリーサービスリーダー プリンシパル
M&A・組織再編時における組織・人事デューデリジェンスからPMIまで、幅広い支援を提供している。特に、合併時の 組織・人事PMIの支援や会社分割・事業譲渡による事業の切り出し後の新会社立ち上げ支援を得意とする。また、 人事制度、要員・人件費コントロール、退職給付制度など組織・人事分野における豊富な経験を有する

 

小川 名穂子(おがわ なおこ)

M&Aアドバイザリーサービス部門 マネージャー
日本企業によるクロスボーダーM&Aアドバイザリー業務に従事。組織人事デュー・デリジェンス業務、経営者報酬およびリテンションプラン策定、ガバナンス設計、グローバル企業の事業買収における人事制度設計、従業員コミュニケーション、買収後経営体制トランジション支援、大規模な組織再編等、幅広い支援を行っている。

 

奥平 剛次(おくひら たけつぐ)

年金コンサルティング部門リーダー、日本アクチュアリー会正会員 年金数理人
年金関連業務における20年超の経験を有する。数理計算、制度設計、年金ALM、M&Aにおけるデューデリジェンス・契約交渉・PMIなど幅広いプロジェクトをリード。マーサー入社以前は大手信託銀行において、企業年金に関する制度設計、数理計算業務及び運用提案などの業務に従事。

 

小原 広太郎(おはら ひろたろう)

M&Aアドバイザリーサービス部門 マネージャー
主に日本企業による欧州・米国企業の買収に伴う組織・人事デューデリジェンス、経営者報酬設計・リテンション、買収後のグローバル人事戦略策定の支援などに従事している。また、統合から数年が経過した企業における中長期的な人事戦略の設計、過去に買収した拠点に対する人員削減・適正化など、統合の一層の深化を目指すフェーズにおける複数のプロジェクトにも携わる。

 

佐藤 智哉(さとう ともや) ※執筆時

M&Aアドバイザリーサービス部門 マネージャー
労務・厚生企画、報酬設計、個別人事、グローバル人事、人事制度改訂など、人事領域での幅広い経験を有し、さらに、現地法人でのグレード制度導入、経営者報酬の設計など海外での人事経験も豊富。日系企業のクロスボーダーM&Aにおける人事デューデリジェンス、クロージングに向けた人事実務、経営者リテンション、買収後のインセンティブ設計等を支援。

佐藤 礼隆(さとう ひろたか)

M&Aアドバイザリーサービス部門 アソシエイトコンサルタント
電機・機械、自動車、化学、非鉄金属、物流、通信、食品、サービスなどの業界を支援。国内外の企業の買収に伴う人事デューデリジェンス支援やPMIフェーズにおける人事制度統合支援等の経験を有する。加えて、日系企業に対するタレントマネジメントの導入支援、経営人材アセスメント支援、人事制度改定などの組織人事に関するコンサルティング経験も豊富。

 

柴山 典央(しばやま のりお)

M&Aアドバイザリーサービス部門 プリンシパル
日系企業のクロスボーダーM&Aの支援を手がけている。これまで、化学、機械、IT、精密機器などの幅広い業界にわたって人事デューデリジェンス、経営者のリテンション、ガバナンス体制の設計、多国籍企業の資産買収における従業員転籍支援を行っている。

 

白川 雄一(しらかわ ゆういち)

M&Aアドバイザリーサービス部門 マネージャー
日本企業による国内外の企業の買収案件ならびに外資系企業による日本企業の部門買収案件、国内事業再編に伴う統合案件、日本企業の海外JV設立案件に従事。人事デューデリジェンス、経営者リテンション、多国籍カーブアウト案件のクロージング支援、従業員コミュニケーション、PMIにおけるグループ再編に伴う人事制度統合等の支援を行っている。

 

竹田 年朗(たけだ としろう)

M&Aアドバイザリーサービス部門 パートナー
15年にわたり、日本企業の行うクロスボーダーM&Aを幅広く支援している。著書に、「クロスボーダーM&Aの組織・人事マネジメント」(第7回M&Aフォーラム賞受賞)、「買収効果が出る クロスボーダーM&Aの組織・人事手法~コントロールと統合の進め方」、「クロスボーダーM&Aの組織・人事PMI」などがある。

 

野坂 研(のさか けん)

M&Aアドバイザリーサービス部門 プリンシパル
各国上場企業をはじめ、PEからの企業買収や創業者ベンチャー買収など、多くの支援経験を有する。また、大型買収案件における複雑性の高い経営者リテンション交渉や、買収後の経営者交替の支援など、経営者ガバナンス・コントロールの領域でのプロジェクトを複数リードしている。グローバル企業の事業売却に伴う国内カーブアウト、外資-日系の人事制度統合なども支援。

 

橋本 道雄(はしもと みちお)

マーシュジャパン株式会社プライベートエクイティ&M&Aサービス バイスプレジデント
国内外のM&A案件において、表明保証保険をはじめとするリスクアドバイザリー業務を担当。著作等に「【鼎談】大手損保4社が参入した国内M&A保険の現状と期待」(MARR Online、2021年11月30日)、「M&Aにおける表明保証保険の利用上のポイント」(経理情報、2021年5月1日号(No.1610))などがある。

 

服部 洋平(はっとり ようへい)

M&Aアドバイザリーサービス部門 シニアマネージャー
電機・機械、精密機器、化学、物流、情報通信、食品、サービスなどの日系グローバル企業に対して、人事制度改定、組織再編、ガバナンス体制の構築、人事領域のデューデリジェンス、グローバルタレントマネジメント、要員計画、従業員意識調査、グローバルモビリティーポリシー策定等の支援している。

 

M&Aアドバイザリーサービス部門

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