M&A関連書籍
クロスボーダーM&Aの組織・人事PMI

書籍概要

買収価格を正当化するだけの高い業績を、日本企業はどのように担保するか。 組織・人事の観点から、クロスボーダーM&Aにおける「経営」と「経営者」の諸問題を解説。

買収直後は、多くのケースで現経営者をリテインし、間接統治を行うのが、良くも悪くも日本企業の現実である。その際は、1) リテンションの構造は要するに間接統治であるから、親会社からのコントロールをしっかりと行って間接統治の品質を高めること、そのうえで、2) 組織の独立性は維持しても経営的には一枚岩である「経営統合」を確立すること、さらに、3) 必要時にレポーティングラインを組み替え、買収先を買い手の内部に取り込む組織統合をタイムリーに行うこと、の3点が依然として重要である。

本書では、コントロール確立と経営統合を分化して、統合の全体像をわかりやすく整理する。さらに、最初を上手にやるための経営者オンボーディングという概念を提唱し、統合の行き着く姿と時間軸や手法の選択肢を示し、間接統治の完成度をいかに高めるかを論じる。また買収時に敷いたリテンション構造に終止符を打ち、レポーティングラインを組み替えて買収先を内部化する組織統合や、M&Aの全体における人事部門の役割と動きについても、紙幅を割いて論じる。

「買収の前提となる考えが間違っていた」「買収価格がどうにも高すぎた」といった大失敗さえ慎重に避けるならば、多くのM&Aで本当に注意すべきは、いつの間にか、そこそこの業績(あるいはそれ未満の悪い業績)からどうにも抜け出せない「長い道」に入ってしまうことだ。但し、入ってしまったことに気が付けば、そこから出る方法はある。医療の現場とは違って、PMIに挽回不能の手遅れはないものと考えている。


著者: 竹田 年朗
出版社: 中央経済社
出版年: 2019/4/1
価格: 3,200円+税

オンラインご購入
Amazon.co.jp  /  楽天
 

書籍目次

  • ■ 序章 統合しないM&A
  • ■ 第I部 買収先の経営統合と組織統合
    • 第1章 買い手の経営意思の実現
      • [1] PMIのガイドライン
      • [2] 組織統合:分解・統合と内包の選択
      • [3] 統合の優先順位とスタンドアロン(組織の独立維持)の積極活用
      • [4] 追加買収の活用
    • 第2章 現地経営者を最大限に活用する「間接統治」の確立
      • [1] 買収先経営トップのレポーティングライン
      • [2] レポーティングラインと可視化ラインの峻別と活用
      • [3] 経営統合の拡張と強化
      • [4] 現地経営トップの積極的な派遣
    • 第3章 組織統合の実践と応用
      • [1] すぐやる統合
      • [2] 国内片寄せ統合に見る統合の本質と課題
      • [3] 国内事業の海外統合
  • ■ 第II部 海外買収先の経営者の理解と最大貢献の引き出し
    • 第4章 買収先経営者の見極めと買い手の決断
      • [1] 海外経営者のパターンと指向性
      • [2] オファー内容とオファーミーティングの設計
    • 第5章 買収先経営者のフル活用
      • [1] 経営者のオンボーディング(歓迎と初期設定)
      • [2] 業績目標の設定
      • [3] 業績悪化時のインセンティブの取扱い
      • [4] 現地功労者の交代
  • ■ 第III部 人事部門とM&A
    • 第6章 M&Aの時間軸と人事部門の役割
      • [1] 人事部門の役割の全体像
      • [2] 人事部門の早期参画と円滑なディール推進
    • 第7章 グローバル経営のスピード感(あるいは「企業文化」序論)

著者略歴

竹田 年朗
マーサージャパン株式会社
グローバルM&Aコンサルティング パートナー

竹田 年朗 (たけだ としろう)

株式会社大林組、外資系コンサルティング会社(戦略系、組織人事系)を経て現職。

日本企業の海外企業買収に対して、デューデリジェンスからPMIまで、幅広い支援を提供している。特に最近は、買収先のコントロールの確立、および経営統合・組織統合をテーマとしている。2009年12月から2018年12月まで、M&A専門誌「MARR」にて毎月論文を連載、その後も寄稿随時。誌上対談も多数実施。

著書に、「買収効果が出る クロスボーダーM&Aの組織・人事手法~コントロールと統合の進め方」(中央経済社、2016年)、「クロスボーダーM&Aの組織・人事マネジメント」(中央経済社、第7回M&Aフォーラム賞受賞)などがある。

経済産業省「海外事業者の視点に基づく日本企業との投資提携の定着に関する調査」研究会委員を務める。

石川県金沢市出身。金沢大学教育学部付属高等学校および東京大学法学部を卒業し、コーネル大学ジョンソンスクール経営学修士課程修了(MBA)。

 

他のコンテンツを見る

[ マーサーを知る ]

[ マーサーに学ぶ ]

グローバルM&Aコンサルティングのサービス全般に関するお問い合わせ

マーサーのサービスに対するお問い合わせ、ご相談等、お気軽にご連絡ください。 お問い合わせ TEL: 03 6775 6527

クロスボーダーM&A セミナーのご案内

日本企業にとって、かねてから海外企業買収による成長は最も重要な経営テーマです。クロスボーダーM&Aがうまくできるかどうかによって、次第に各企業の行く末が左右されるようになってきています。 本セミナーは3部構成とし、M&Aの各段階で立ち戻るべき原理・原則の解説と、現場での実践のヒントの紹介に注力いたします。

クロスボーダーM&A [1] 基礎セミナー
組織・人事デューデリジェンスと経営者リテンション
セミナー日程・詳細情報
クロスボーダーM&A [2] 中上級セミナー
経営者に対するガバナンスの確立
セミナー日程・詳細情報
クロスボーダーM&A [3] 中上級セミナー
間接統治と組織統合
セミナー日程・詳細情報
クロスボーダーM&A 【特別編】:買収先経営者のオンボーディング
セミナー日程・詳細情報
クロスボーダーM&A 【特別編】:事業・子会社売却における組織・人事上の論点
セミナー日程・詳細情報

セミナー・ニュースレターのご案内

グローバルM&Aに関する最新のトピックスやマーサーの知見に触れることができるニュースレターを発行しています。是非ご登録ください。

ニュースレター登録