買収先従業員の不安を軽減し、期待を醸成して、M&A成功に向けての組織のモメンタム(勢い)を生み出すことが重要です。誰が、何を、誰に、どのように、どのような方法で伝えるかを、各国の受け手の状況に配慮しつつも、全体整合をとって計画し、体制を整えてしっかりと実行する必要があります。
買収先の従業員に対して、合意したM&Aの趣旨、買い手の概要、今後の会社の方向性・体制、従業員にとって従来と変わることと変わらないこと、といった重要事項を整理し、最適な方法・ツールを用いて、タイムリー、かつ効果的・効率的にコミュニケーションを行います。
通常、対外発表まで秘密裏に進行するM&Aの性質上、買収先の従業員は、突然多くのことを知らされることになります。買収後に従業員のパフォーマンスが落ちることがないように、不安を軽減し、今後に対する期待を醸成することが重要です。双方の経営が社員にいつ、何を、どうやって伝えるべきかを決め、適切に実施することが必要です。
プロセスマネジメントの巧拙が、成功のカギを握ります。コミュニケーションの専門チームあるいはワークストリームを立ちあげ、他のモジュールと連携して、マスタープランを常時アップデートしていきます。実施段階に入ると、買収先と買い手との緊密な連携が不可欠になります。体制の弱い恐れのある拠点は事前に洗い出し、対策を考える必要があります。
経営者が何を言ったかではなくて、従業員が実際どう思っているかがすべてである("Perception is reality”)。コミュニケーションは、その内容・タイミングだけでなく、トーンやスタイル、あるいは使用するツールや場の設定(印刷物、メール、ウェブサイト、ボイスメッセージ、ミーティング、ビデオ、職場上長からの伝達など)も重要である。
また、M&Aの局面においてこれらの要素をきちんとコントロールするには、体制整備も重要になってくる。特に、買収先が多くの国で操業しているときが大変である。買い手の中の確認・許可のプロセスも、よく整理しないと効率が悪いし、多くの仕掛事項を漏らさずに、同時並行的にモニターし続けるのも、思うほど簡単ではない。相手にとって気持ちよく督促する、という技術も必要になってくる。
M&Aでは、サイニング、クロージング、100日プラン策定後、とステージが進むごとに具体的に伝えるべき事項とコミュニケーションの相手方が増えていく。逆に、まだ社員に伝えられる状態にない事項については、いつごろ発表できるのかをきちんと伝えて、先を照らすことが原則になる。これも「不安の軽減」と「期待の醸成」の一つの形である。決まっていないことについて予想や想像で誰かが言及すると、後で修正が利かなくなるリスクを負うので、厳にコミュニケーションを統制すべきである。
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