リオオリンピックが閉幕し、日本は金メダル 12、銀メダル 8、銅メダル 21 を獲得し、国別順位で第 6 位と健闘した。いろいろと問題が指摘されてはいるものの、次回 2020 年の東京オリンピックでの日本人の活躍が楽しみなのは筆者だけではないだろう。特に、自由形や 400 メートルリレーといった日本人の体形では不利と思われる競技での躍進には、隔世の感がある。昔に比べると日本人の体形もずいぶん大型化したので、当然といえば当然かもしれないが。
話は変わるが、先般、世界保健機関 (WHO) が、2015 年時点の各国ごとの平均寿命の順位を発表した。
男女合計では日本が 83.7 歳でトップ、次いでスイスの 83.4 歳、シンガポールの 83.1 歳と続く。いずれの国も医療施設の発達したある意味医療先進国であることは偶然ではないだろう。
しかし筆者は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命をもっと重視すべきだと考えている。WHO の調査では、日本人の健康寿命は男女合計で 74.9 歳。先ほどの平均寿命との差が 8.8 歳なので、単純に考えると何らかの病気を抱えながら生きる期間が、約 9 年あるということになる。医療技術の進化による恩恵なのだろうが、病院嫌いの筆者からすれば、9 年も病院通いをするのかと暗澹たる思いがする。
厚生労働省の施策の一つに「健康日本 21 (第二次)」というものがあるのをご存じだろうか?
平成 25 年度から 34 年度までの国民健康づくり運動を推進するもので、基本方針は以下の 5 つとなっている。
そのための具体的な目標は下表のとおりである。
この内容を見て、読者はどのような感想を持つだろうか?
健康寿命を伸ばすために行政や関係機関ができることとしては、まず妥当といえるだろう。5 つの基本的方向に対応して、さらに 53 項目にわたる具体的な目標が実際には設定されており、関係部門の意気込みが感じられる。
その一方で、国連が発表する「世界幸福度報告書 2016」では、世界で「最も幸せな国」にはデンマークが 1 位、スイスが 2 位、以下アイスランド、ノルウェー、フィンランドと上位の多くを北欧諸国が占めている。残念ながら、日本は 53 位と決して高いとはいえないランキングである。
このランキングの主な要素は次の 6 つの指標である。
「幸福度」という抽象的かつ個人差のあるものを、データ分析で語ることの是非はさておき、「健康寿命」をさらに伸ばすことが少なくとも「幸福度」ランキングを高めることに繋がることは間違いないようだ。
また「健康寿命」を伸ばす取り組みに関連しては、日本経済再生本部でも「世界最先端の健康立国を目指す」プロジェクトを推進しているので、ご興味のある方は下記を参照されたい。
オリンピックのメダリストは、総じて、目標達成のために食生活を含めて相当ストイックな生活をしているとインタビューで答えていた。遅まきながら筆者も「健康寿命」を伸ばすために、日々の生活改善を図るべきなのかもしれない。それが「幸福度」につながるのかどうかは若干心もとないが。