マーサーマーシュベネフィッツ、『ヘルストレンド:保険会社グローバル調査 2020』を発表 - 新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が今後数年にわたり従業員の福利厚生に影響を与えることが明らかに


2020年11月12日

 

  • コスト抑制は引き続き重要項目として、68%の保険会社が、COVID-19関連の診断、入院、治療により保険金請求が増えると予測
  • 2021年の医療費の上昇は、再びインフレ率を大幅に上回ると予想
  • リモートワークや柔軟な働き方が雇用主提供福利厚生制度の変革ドライバーになると考察

マーサーマーシュベネフィッツが発表した最新レポートによると、COVID-19のパンデミックで引き起こされたヘルスケアサービスの中断と、定着しつつある新たな働き方が、企業が提供するヘルスベネフィットの費用と制度に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。

 

第6回 マーサーマーシュベネフィッツ 『ヘルストレンド:保険会社グローバル調査 2020』(2019年まではMedical Health Trends Around the Worldとして発表)では、68%の保険会社がCOVID-19関連の保険金請求が増えると回答し、2021年の医療費の上昇は、引き続きインフレ率を大幅に上回ると見通している。保険会社によると、2019年の医療費増加実績は9.7%と報告されており、これはインフレ率の3倍弱に等しい。 2020年には、医療費が9.5%上昇すると見込んでおり、これはインフレ率の約3.5倍である。 2021年については、90%の保険会社が現状維持、あるいはさらなる増加を予測している。

 

マーサーヘルス マーサーマーシュベネフィッツ インターナショナルリーダーのHervé Balzanoは、調査結果について次のように述べている。

 

「COVID-19は、ヘルスケアを含む社会と経済に深刻な影響を及ぼしました。ロックダウン中に延期された待機的治療のリバウンド、リモートワークや運動不足な生活スタイルに起因する運動器(筋骨格)系および精神的な健康問題の増加、さらに、COVID-19が長期的に身体的および精神的健康へ影響を与え得る懸念から、医療費は今後も増加すると我々は予想しています」

 

Hervé Balzanoはさらに続けた。

 

「在宅勤務による新たな課題に対応し、同時にコストを抑制するために、企業は従業員に提供する福利厚生制度の内容とその提供方法を抜本的に再考する必要があります」
コロナ禍は、現在の福利厚生制度の脆弱性を浮き彫りにした。概して紙ベースの運用である。現在、多くの企業がメンタルヘルスケア、予防療法、オンラインサービスといったプログラムやサービスを提供できるプロバイダーを探しているため、保険会社はさらなるソリューションの拡大を計画している。

 

本調査では、予防治療へのニーズの高まりも明らかになった。「バーチャル健康相談」を提供する保険会社の数は2019年の38%から59%に増加している。現状では55%の保険会社が健康診断等の予防医療費用を補償しているが、20%の保険会社が今後24ヵ月以内に補償を開始する計画であると回答した。COVID-19ワクチン接種についても、保険会社の半数以上が補償対象にするものと予想される。

 

加えて、パンデミックの間に需要が増加したにもかかわらず、メンタルヘルスサポートが不十分である事実が洗い出された。例えば、バーチャルなメンタルヘルスカウンセリングを提供している保険会社は世界中で3分の1に過ぎず、32%の保険会社はメンタルヘルスサービスを補償するプランも供給していない。

 

マーサーヘルス・マーサーマーシュベネフィッツ リーダーの石田実は本調査の日本企業にとっての意義について次のように述べている。

 

「日本は国民皆保険制度があるため、企業が提供する福利厚生への関心が低い傾向にありますが、海外では、従業員福利厚生制度は総報酬の一角と認識される経営課題です。グローバル企業における、従業員の健康保持・福利厚生費最適化に向けた取り組みは、日本企業や健康保険組合にとっても示唆に富みます。また、グローバル視点でのコスト意識も重要なアジェンダです。世界的にも医療費の上昇が続くと見込まれる中、マネジメントに対する福利厚生費の適切な分析と、予防措置をとるツールの提供が求められます。海外では、雇用主が提供する福利厚生制度は、従業員にとって報酬の一部として捉えられています。医療・健康面のデジタル化も進んでおり、内容だけではなく、従業員エクスペリエンス(Employee Experience)の観点から、利便性や運用効率も要求されます。優秀人材のアトラクション・リテンションへの影響も踏まえ、本調査に注目いただきたいと思います」

 

マーサーマーシュベネフィッツ アドバイス・ソリューションリーダーであるAmy Laverockは、以下のようにコメントしている。

 

「景気が後退する一方で医療費が上昇しており、社員の健康、ウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)、生産性、エンゲージメントを担保する福利厚生制度に企業が注目することは極めて重要です。従業員の健康は企業にとって不可欠な資産であり、企業が業績を上げ、人に関わるリスクを効率的に管理する上でも役立ちます。健康維持に関わる計画は、人的資産への投資として見なされるべきです」

 

本レポートは、2020年6月上旬から7月中旬にかけて、米国を除く59ヵ国で雇用主が提供するヘルスケア関連のプログラムに焦点を当てている。今年は、約240の保険会社によるデータに基づいた、定量的な年間医療動向が含まれており、保険補償の財務的側面を超えたコンテンツが追加された。米国のトレンドについては、National Survey of Employer-Sponsored Health Plansの結果を一部説明している。

 

全文レポート(英語)は以下から無料でダウンロードいただけます。

 


 

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