資産運用コンサルティング

組織運営支援

組織運営支援は機関投資家の資産運用に関するガバナンス体制構築を支援するサービスです。

 

何故、機関投資家にガバナンスが必要なのかを考えてみます。経済学では、株主と経営者の関係を代表的な例として、プリンシパル=エージェント理論という考え方があります。これは、主たる経済主体をプリンシパル(=委託者)、主たる経済主体のために代理で活動する代理人をエージェント(=受託者)として、プリンシパルとエージェントの関係を考察するものです。

先程の株主と経営者の例にすると、株主はプリンシパルとなり経営者をエージェントとして企業経営を委託する(経営者は企業経営を受託する)、という関係になります。更に機関投資家の資産運用に置き換えてみると、資産を保有する主体はプリンシパルとなり、エージェントとして機関投資家に資産運用を委託する(機関投資家は資産運用を受託する)、という関係になります(図表1)。

(図表1)プリンシパル=エージェント理論のイメージ

 

プリンシパルとエージェントの関係を考える上で重要となるのがエージェンシー問題です。エージェンシー問題はエージェントがプリンシパルにとって望ましい行動を行わない(または、望ましくないことを行う)ことを言いますが、エージェンシー問題が生じる要因として、「プリンシパルとエージェントの利害の不一致」と「情報の非対称性」の2点があることが一般的とされています。これらの要因を背景に、経営者が株主の利益を最優先としない行動をとる、または、機関投資家が資産保有者の許容するリスク以上に運用リスクをとる、という問題は現実に生じているエージェンシー問題と言えるでしょう。

エージェンシー問題の解決策として、エージェントへのインセンティブ付与やエージェントの監視があり、プリンシパルはこれらの行動によってエージェントに対して忠実な行動を期待できるようになります。従って、冒頭のガバナンスはプリンシパルがエージェントの監視する形態の一つと考えられます。エージェントの視点に立って言えば、エージェントは適切なガバナンス体制を構築して遵守することで、受託者として忠実な行動を行っている証になるので、エージェントである機関投資家にとってガバナンスが必要不可欠であることが分かります。

(図表2)エージェンシー問題と解決策のイメージ

 

現実には機関投資家と言っても、企業年金、大学法人、財団法人等、さまざまな形態・属性があり、それぞれ求められるガバナンスは法令や資産保有者の意向で異なっていますが、マーサーの組織運営支援のサービスの事例として、マーサーが最も経験を培ってきた企業年金に対するガバナンス体制構築支援の一例をお示しします。図表3は、法律が企業年金に対して求めていること(法的要請)を取りまとめてお客様へ案内したもので、これに基づいて法令順守は当然として具体的にどのような運営がお客様とって適切なのか、都度、お客様と協議を行いながら、ガバナンス体制の構築を進めたケースです。(但し、厳密な法解釈は法律専門家へのご相談をおすすめしています)

(図表3)企業年金への法的要請の案内事例

 

マーサーの組織運営支援のサービスは、お客様の機関投資家としての形態・属性に合わせて、何が忠実な行動に当たるのかを考えながら、お客様と密接な協議に則って提供されます。