強固なガバナンスは投資プログラムに付加価値を与えるものであり、危機や価格調整局面において、特に重要であると考えられます。本レポートは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックがもたらした危機に際し、資産規模の大きいさまざまなアセット・オーナーが、ガバナンス方針をどのように適応しているかを調査したものです。先進的な投資家は魅力的なリスク調整後リターンを見つけ、このパンデミックの影響の軽減と対処に資する投資行動を取っています。
マーサーは世界経済フォーラムと協働し、数年にわたり世界的なシステミック・リスクに係る投資行動やガバナンス慣行について調査(multi-year investigation1)を行ってきました。その一部として構築されたフレームワークは、新型コロナウイルスのパンデミックにも適用できます。
ガバナンスと意思決定における6段階の枠組み
加えて、WEFが最近発行した「変革投資:グローバル・システミック・リスクを持続的な収益機会に(The World Economic Forum Global Risks Report 20202 )」では、世界経済や社会全体が直面しているリスクをハイライトしています。ここで注力すべきは、長期投資家に最も関連性が高いと特定された6つの主要な世界的なシステミック・リスクです。これら6つのリスクは、各ファンドの目的、方針、自己資本比率およびガバナンス構造構造に基づいており、あらゆる側面において投資家に影響を与えます。
気候変動 | 政府と企業が気候変動に対処し、人類を守り、適応していく必要性 |
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水資源保全 | 淡水の質・量の低下による人間の健康や経済活動に対する影響 |
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地政学 | 世界的な不平等の拡大、ポピュリズム、保護主義、紛争、自由貿易への脅威の影響 |
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技術革新 |
技術の進歩、整備されていないインフラストラクチャーやネットワーク、サイバー攻撃に関連するリスクと機会 |
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人口動態 | 世界的に広まる高齢化、急速に高齢化が進む地域と人口転換に入る地域との間の人口統計学的な不均衡、および移住の影響 |
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低金利 | ゼロまたはマイナスの長期金利が持続する投資家やステークホルダーの金融政策とリターン要件への影響 |
この枠組みによって、マーサーのレポート「パンデミックがもたらした市場危機を乗り越える」は、機関投資家の目的として以下の2つを掲げています。
危機的状況下では、信頼性の高いガバナンス方針を打ち出し、投資プログラムの実装における欠点に対して、前向きな戦略で対処しなければなりません。また、主要なステークホルダーとの意思決定と協働体制を強化する必要があります。
1 World Economic Forum, Transformational investment: Converting Global Systemic Risks into Sustainable Returns, May 2020.
2 World Economic Forum, The Global Risks Report 2020, 15th Edition, 2020.
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