日本政府は「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」という目標を掲げました。しかし、女性管理職比率を基準に国際的に比較すると、日本はインドや韓国に並びいまだ低水準にとどまっています。

 

女性管理職比率や就業者に占める女性の割合(女性比率)は、女性活躍の度合いを測る主要な指標として、国ごとの男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数の計算にも用いられています。これら指標が高い企業にとっては、さらなる活躍を測る指標として上級管理職(部長相当職以上)の女性比率や中核業務(直接部門)の女性比率が有用です。

 

女性管理職比率と就業者に占める女性の割合の国際比較(2018年)

そこで、働く女性の4R*配属が未だ多い状況をふまえると、「直接部門」と「間接部門」の女性比率の差は注目に値します。本稿では、企業アンケートへの回答データを用いて性別による配属の偏り(職域分離)を可視化したうえで、職域分離の度合いと部長相当職以上の女性人数との関係を明らかにしています。

*人事(HR)、広告宣伝(PR)、経理財務(IR)、お客様相談室(CR)英語名にすると「R」が付く、女性が配属されやすいと言われる部門

本レポートは、2014年から2018年にマーサーが実施した総報酬サーベイの個票データを用いています。正社員数100人以上かつ女性正社員数が10人以上、欠損が少ない1044社のデータを集計しました。1044社のうち877社(84%)は外資系企業、課長相当職以上の女性管理職比率を見ると、日系企業の平均が7.6%、外資系企業の平均が14.4%。そのため、日本全体に必ずしもあてはまらないケースもありますが、多様性に対する取組みや今後の計画策定の一助となることを目的に作成しています。

主なポイント:

 

  • 性別による職域分離(配属の偏り)の度合いは女性活躍度を測る指標として有用
  • 職域分離は女性の部長以上への昇進を妨げる
  • 部門ごとの男女別人数を使って職域分離度を計算できる
  • 職域分離度は業種によって差がある
  • 職域分離の傾向は3タイプ:
               1. 技術・生産 男性社会型
               2. 営業 男性社会型
               3. 中核業務分離型

 

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執筆者: 小林 眞弘 (こばやし まさひろ)

プロダクト・ソリューションズ アソシエイト

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