サーベイ集計結果の主なポイント

 

調査結果を概観すると、全社共通の対応としては、総じて不要・不急な出張の中⽌・延期やテレワークへの切替など、感染拡⼤防⽌にあたり必要な施策を実⾏する⼀⽅、ビジネス⾯の影響や4⽉以降の業務計画の⾒直しについては慎重に⾒極める姿勢が⼤半であり、悲観的なトーンが⽐較的強いメディア報道に⽐べ、企業の現場では⽐較的冷静な対応が多く⾒受けられました。

 

⼀⽅で、感染拡⼤防⽌に向けた対応・施策が⼗分に整備されていない企業も散⾒され、個別企業毎の危機管理や業務・ITインフラ、リーダーシップのあり⽅の違いが浮き彫りになった形です。


<全社共通>

  • 緊急性の低い国内外の出張を中止・延期 (91%) 
  •  時差出勤の許可・奨励  (84%) 
  • 在宅勤務・テレワークの許可・奨励 (69%)
  • 集合型社内研修の中止・延期 (71%)
  • 職場での懇親会等の中止・延期 (59%) 
  • 採用関連イベントの中止・延期 (39%) 
  • 新卒・中途入社式の中止 (10%) 
  • オンライン会議への切替え (社内ミーティング52%、社外ミーティング39%) 
  • オンライン研修への切替え (27%)
  • 在宅勤務・テレワーク (82%が全社または一部の部門で実施)
  • 一方で、18%の企業で、インフラが整っていない (78%)、関連規定・ルールが整備されていない (66%)、業務特性がテレワークに適していない (62%) など在宅勤務導入へのロードブロックがある
  • 出張の中止や延期に伴う商談のスローダウン(57%) 
  • 国内外の経済活動の停滞、自粛ムードに伴う売上の減少(50%) 

本調査は2020年2⽉27⽇より調査を開始しており、回答期限は3⽉4⽇17時でしたが、調査開始後速やかに回答を完了した企業も多くあることから、⽇本政府による⼀⻫休校要請が出た2⽉28⽇以降、より踏み込んだ対応策を検討・実施している企業も増えてきていると予想されます。

 

また、中国上海市・北京市やインド政府による渡航制限や隔離要請が3⽉3⽇に打ち出される等、海外各国による⽇本からの各種要請・制限についての状況も⽇々変わる中で、各社の海外出張ルール・ガイドラインも⽇々対応が求められています。

 

これらの点を念頭に置いた上で、各企業内において感染拡⼤防⽌・従業員⽀援に資する⼈事管理ルール、業務運営ルールやガイドラインの整備を進めていくために、本サーベイ結果を活用していただければと思います。


企業の危機管理の整備が喫緊の課題

 

今回の新型コロナウィルスの感染拡大のような非常事態への対応においては、自然災害やテロの可能性への対応と同様に、企業として日頃から危機管理計画(Response Planning)を策定しておき、本件(新型コロナウィルス感染拡大)の状況を踏まえた具体策に落とし込み、状況を踏まえてアップデートをしていくことが重要となります。


危機管理計画には、以下の項目の体制やプロトコルを含める必要があります。


  • 初動対応(emergency response)
  • 事業継続(business continuity)
  • 危機管理(crisis management)
  • クライシス・コミュニケーション(crisis communication)

 

企業が被害を最小限に抑えて危機を乗り越え、平常時に素早く戻るためには、例えば以下のような問いに対する答えを準備することが、確認の第一歩となります。


  • 自社にとって価値の高い商品・サービスと、今非常事態による売上への影響はどの程度か?
  • 自社の既存の危機管理計画は、今回のような広範にわたる拠点の一時的閉鎖(もしくは原則テレワーク化)、渡航規制、一部原材料・部品等の調達の遅れ等に対応したものか?
  • 初動対応は企業内の誰が判断し、企業内外の誰が関与すべきか?
  • 非常事態における公的機関(含保健所)や政府機関との連携の取り方は?
  • 組織・社員が冷静かつポジティブに事態に対応できるように何をどう伝えるか?

 

 

Response planning

 

 

cover image of COVID-19 snapshot survey report

新型コロナウィルスに対する企業対応のスナップショットサーベイ サマリーレポート(ダイジェスト版)

 

<目次>

  • はじめに Introduction
  • 調査概要 Overview
  • エグゼクティブサマリー Executive Summary 
  • 調査結果 Survey Results 

「新型コロナウィルスに対する企業対応のスナップショットサーベイ」サマリレポート(ダイジェスト版、約4MB)