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<概要>
デジタル化、グローバル化が事業の正否に大きく関わる富士通株式会社。
DX企業への変革に向け、社員一人ひとりがチャレンジし、学びと成長、コラボレーションをし続けるためのグローバル・グループワイドな人事基盤となる「ジョブ型人材マネジメント」をスピーディに導入しています。
当対談においては、グローバルグレード、報酬制度や社内公募等の実際の取り組みや現在直面している課題についてお話しいただきました。
平松 浩樹 (ひらまつ ひろき)様
富士通株式会社
執行役員常務 CHRO
1989年 富士通株式会社に入社、主に営業部門やプロダクト部門などのビジネスパートナー人事を担当。成果主義の部門展開やエンジニアのプロフェッショナル認定制度企画などを推進。
2009年より役員人事の担当部長として、役員人事・グローバル役員報酬の制度企画・指名報酬委員会の立上げ等に参画。
2015年より営業部門の人事部長として、営業部門の働き方改革を推進。
2018年より人事本部人事部長としてタレントマネジメント、幹部社員人事制度企画・ジョブ型人事制度の企画を主導。
2020年4月より執行役員常務として、ジョブ型人事制度、ニューノーマル時代の働き方・オフィス改革に取り組んでいる。
2021年より現職。
2021年6月7日 HRインサイト対談の様子(インタビュアー:取締役 執行役員 組織・人事変革コンサルティング部門 日本代表 白井正人)
ジョブ型と言いながら幹部層だけであったり、タイトル(部長、課長等)だけでサーベイデータを出している日本では、まだまだ報酬データをもとに、グレーディングとペイストラクチャーを作ることができないと感じます。 平松さんが思い描いておられる今後の報酬のストラクチャーがあればお伺いしたいです。
現時点では報酬はシングルレートを導入しているため、職種に問わず、FUJITSU Levelが同じであれば報酬は同じという仕組みですが、今後よりベンチマークデータが洗練されれば、職種別・FUJITSU Level別の報酬体系も検討したいと考えています。
サラリーレンジによる報酬管理ではなく、グレードによるシングルレートとのことですが、AIやデータサイエンティストなど、労働市場で給与の高いポジションもふくめて同じ体系なのでしょうか。YESの場合、これらのマーケットのギャップをどのように埋めようとされているのでしょうか?
基本的な報酬体系としては同じですが、高度専門職系人材処遇制度という仕組みを並行して導入しており、高度専門職系人材と認められた人材については従来のシングルレートによる報酬に加え、追加で報酬を付与することで、マーケットとのギャップを埋めています。
現任者のモチベーションに影響するため、ジョブポスティングは新規ポジションに限られると考えております。一方で新規のみになると、現在の組織ポジションを目指したい若手人材のキャリアチャレンジが失われることを懸念しております。
空位ポストを埋める手段の一つとしてポスティングがあります。上位ポジションへのチャレンジの機会を定期的に創出するためにも、ポスティングと並行して一定数以上のポストオフを行うことを各組織にはお願いをしています。
職責ベース報酬を導入してから、役職のpost-offとdowngradeについて、実際にはどんな困難がありますか?その際のsolutionを教えて頂ければと思います。
これまでは年齢による役職定年を導入していたたため、ある意味自動的にポストオフが行えていました。しかしジョブ型を導入したことにより、組織の新陳代謝、該当ポストにおいて成果が十分にあげられていない等を理由に、各組織が主導して誰をポストオフ/ダウングレードするかを決めていく必要があるため、いかに納得感のある人選を行うかということが重要なポイントになっています。人事としては、ガイドラインの提供、ならびにポストオフ対象者の人選サポートを丁寧に行うことで、納得性の高い仕組みを目指しています。
ジョブ型の方が人材流動性が出るのはなぜでしょうか? ポジションが空かなければそのポジションには入れないので、逆のような気がします。
ポスティングの拡充に加えてポストオフの仕組みを導入しており、組織の新陳代謝、該当ポストにおいて成果が十分にあげられていない等を理由に、各組織が主導してポジションから外れていただく方を決めるプロセスにしています。その際、毎年一定数以上のポストオフを行うよう各組織にはお願いをしているため、その結果として、人材の流動性が高まると考えています。
公募制での管理職登用について、登用後に想定したポジションの業務が十分に遂行できない場合、降格などもあり得るのでしょうか?
実際に、どの位の降格ポジションへの異動などが発生されているか、可能な範囲で教えていただけると幸甚です。
ポストオフという仕組みを導入しており、組織の新陳代謝、該当ポストにおいて成果が十分にあげられていない等を理由に、そのポジションから外れていただくということを行っています。ポストから外れた方については、ポスティング等を活用し、原則として自ら次のポジションを探していただくことになります。
ジョブ型人事制度を導入することによって処遇(ポジションや報酬)が下がるベテラン社員に対して、どのようなステップで、フォロー・経過措置施策を取られましたでしょうか?
FUJITSU Levelの格付けの結果、報酬が低下する方については、激変緩和措置として最大3年間かけて緩やかに報酬の減額を行うという経過措置を取っております。
職能ベースから職責ベースに変更したタイミングで、月俸が大きく低下した方はいらっしゃいましたでしょうか?いらっしゃった場合、大きな反発があったかと想像しますが、どのように推進していったか、お伺いできればと思います。
FUJITSU Levelの格付けの結果、月俸が低下した方は一定数おります。ただし、月俸が低下する方については、激変緩和措置として、最大3年間かけて緩やかに報酬の減額を行うという経過措置を取っています。
Fujitsu Levelを適用していない職種はありますか?
1. 生産現場や営業、役員秘書
2. 執行役員
3. 海外現地法人社員
FUJITSU Levelを含めた今回のジョブ型は、富士通国内グループ会社を含めた全ての管理職以上が対象となります。また、海外ではすでにFUJITSU Levelを導入しているため、海外現地法人社員もFUJITSU Levelの対象となります。
ジョブ型と聞くと、雇用の流動化とセットで議論されることが多いため、労働組合からは雇用の確保という観点から否定的な意見もあったかと思います。そういった団体に対して、どのように説明をし、合意されていったのかご教示いただければ幸いです。
今回は幹部社員のみの適用ですが、現在、一般社員へのジョブ型展開も企画検討中です。継続的に労働組合と議論を行い、会社の変革の手段の一つとしてジョブ型が有効であるということを丁寧にコミュニケーションしている最中です。
管理職はジョブ型(職務等級)とのことですが、非管理職はメンバーシップ型(役割等級)でしょうか。
現状、非管理職はメンバーシップ型です。
ジョブ型を管理職に入れるとのことですが、組合員は入れなかったと理解しました。その理由は何でしょうか?今後組合員もジョブ型を検討されているでしょうか?
組合員へのジョブ型導入については現在検討中です。組合員に導入するためには労働組合の合意も必要で相当の時間がかかるため、まずは管理職以上の導入としています。現在、一般社員のジョブ型導入に向けて、制度設計、組合とのディスカッションを行っている状況です。